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BEYOND DISCOVERY
日経サイエンス
レーザーと眼科手術
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1. イントロダクション
2. はっきり見えます
3. 網膜――視覚の中枢
4. 一方,物理学の世界では…
5. 光のパワー
6. 分子に光を発生させる
7. まさにうってつけだったレーザー
8. アルゴンレーザーの登場
9. 目的に合ったレーザーを求めて
10. クレジット
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BEYOND DISCOVERY
THE PATH FROM RESEARCH TO HUMAN BENEFIT
■一方,物理学の世界では…
 ゴーニンが網膜剥離の原因に関する発表を行う直前のこと,1917年にアインシュタイン(Albert Einstein)は「誘導放出」と呼ぶ現象に関する論文を発表した。後にレーザーにつながった研究成果だ。アインシュタインのアイデアは,ドイツの物理学者プランク(Max Planc)による1900年の成果と,デンマークの理論家ボーア(Niels Bohr)による1913年の成果に基づいている。プランクは加速された原子から放射されるエネルギーが飛び飛びの値を持つ塊に分かれていることを理論化し,これを「量子」と名づけた。その5年後の1905年,アインシュタインは光そのものが従来考えられていたような波ではなく,エネルギーを持った個別の塊,つまり粒子(後に光子と名づけられる)からできていると提唱した。次いで彼は,物質がどのように光(光子)のエネルギーを吸収・放出するかを示し,これに基づいて長年の謎だった光電効果を説明した。この業績によって,彼は後にノーベル賞を受賞した。
 
 物理学者たちは光が波なのか粒子なのかをめぐって何年も議論したが,ついには光が両方の性質を併せ持つという認識を受け入れるようになった。現在では,電磁放射は波長や振動数(周波数)によって記述される。波長は連続した波の隣り合うピークの間隔であり,振動数は1秒間に波が繰り返す回数(単位はヘルツ)だ。波長が短いほど振動数は高く,光子のエネルギーも大きい。
 
 この議論に決着がつくよりもかなり前に,アインシュタインは別のことを発見していた。ボーアの原子模型によれば,電子は原子核の周囲をめぐる特定の軌道を回っており,どの軌道を占めるかは原子のエネルギー準位によって決まる。
 
 原子は,1つの軌道からより高いエネルギーの軌道へと電子を押し上げるのに必要なのとぴったり同じエネルギーしか吸収できず,電子が高い軌道から低い軌道へと落ちる場合にはこの差に相当するエネルギーを放出する。ネオンなど特定の気体の原子が,特徴的な波長パターンを持ち固有の色をした光を出す理由は,これで説明がつく。
 
 励起状態にある原子(電子が高エネルギーの軌道を占めている原子)はやがて,エネルギーが低いもとの状態へと自然に落下し,蓄積していたエネルギーをこの過程で放出するだろう。この「自然放出」は無秩序に起きる。エネルギーとして放出される光子は任意の方向に向かう。しかしアインシュタインによれば,励起状態の原子が光子と遭遇して刺激されるなら,つまりその光子が適切な量のエネルギーを持っていて,原子の低エネルギー状態と高エネルギー状態の差に等しいなら,この遭遇によって放射の連鎖反応が引き起こされるだろう。
 
 この連鎖反応によって,通過する光の強度が強まるばかりでなく,新たに放出される光子はすべて,入って来た光子と同じ方向にそろって出て行く。これが誘導放出だが,誘導放出による光強度の増幅は基底状態にある原子の数よりも励起状態にある原子のほうが多い場合にしか起きない。これは通常と正反対の状況だ。
 
 このように,誘導放出には「反転分布」と呼ぶ状況が必要となる。励起状態にある原子の数を人為的に増やしてやる必要があるのだ。普通は光を当てることによって反転分布を作り出す。
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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