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BEYOND DISCOVERY
日経サイエンス
B型肝炎の物語
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1. イントロダクション
2. B型肝炎:体を衰弱させる病気
3. 血液に手がかりを探る
4. ブレークスルーをもたらした血液試料
5. 驚くべき発見
6. 血液スクリーニング検査の革命
7. 粒子の正体は?
8. 肝臓ガンを予防するワクチン
9. 次々に明かされた多種の肝炎
10. クレジット
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BEYOND DISCOVERY
THE PATH FROM RESEARCH TO HUMAN BENEFIT
■ブレークスルーをもたらした血液試料
 一方,NIH血液銀行の血液専門家アルター(Harvey Alter)も血液どうしの反応に関心を持っていた。アルターは,患者によっては輸血後に発熱や悪寒,発疹が生じる場合があるのはなぜかを突き止めようとしていた。輸血血液に含まれている異種タンパク質(抗原)に対する免疫反応が起き,そのため症状が出るのではないかと彼は考えた。アルターは,ブラムバーグが何度も輸血を受けた患者の血液について免疫反応を探っていることを知って彼に会い,共同研究することを決めた。
 
 ブラムバーグとアルターは寒天ゲル拡散法を用い,輸血経験の多い患者たち(例えば血友病や白血病の患者たち)の血清を,ブラムバーグが集めた世界各地の人々の血清と反応させて調べた。1963年,数カ月にわたる実験の結果,ニューヨークの血友病患者の血清が地球の反対側にすむオーストラリア原住民,アボリジニーの血清と反応することを2人は発見した。この発見そのものは,特に異例とはいえなかった。それまでの実験でも,輸血経験のある患者の血液が他の血清と反応する例はよくあり,患者たちが輸血を通して多くのありふれた抗原にさらされたことを示していた。ただし同時に,どの抗原が反応を引き起こしているかについて,はっきりしたことは何もいえなかったのだ。しかし,オーストラリアのアボリジニーの血清を使った今回の実験では,血友病患者24人のうち1人の血清だけが反応した。この意義は大きかった。たった1つのまれな抗原が反応を起こしたと考えられるからだ。では,その抗原は何なのか。反応がまれにしか起きなかった点からすると,血液の遺伝的変異によって生じた抗原だとは考えにくい。むしろ,何らかの感染によって生じたものと考えられた。
 
 B型肝炎のことが頭の中にあったわけではないが,この疑問に興味をそそられて,ブラムバーグとアルターは問題の血友病患者の血清を数千もの血清試料と組み合わせて反応を調べた。その結果,血友病ではない米国人健常者の献血試料では血友病患者の血清と反応するのが1000人に1人なのに,白血病患者では10人に1人の割合であることを見いだした。先の実験でアボリジニーの血液中の抗原が引き起こしたのと同じ反応が,白血病患者の血液によって頻繁に起きたわけだ。さらに,この抗原は通常の患者の血液中にはまれで,血友病や白血病の患者の血液には頻繁に見つかった。2人はこの謎のタンパク質を「オーストラリア抗原(Aa)」と名づけた。この発見をもたらしたアボリジニーの血液の故国にちなんだ命名だ。2人はアボリジニーの血液に含まれる未知の抗原が,血友病や白血病の一部患者の血液中にある抗体と反応しているとの仮説を立てた。
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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