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BEYOND DISCOVERY
日経サイエンス
B型肝炎の物語
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1. イントロダクション
2. B型肝炎:体を衰弱させる病気
3. 血液に手がかりを探る
4. ブレークスルーをもたらした血液試料
5. 驚くべき発見
6. 血液スクリーニング検査の革命
7. 粒子の正体は?
8. 肝臓ガンを予防するワクチン
9. 次々に明かされた多種の肝炎
10. クレジット
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BEYOND DISCOVERY
THE PATH FROM RESEARCH TO HUMAN BENEFIT
■血液スクリーニング検査の革命
 B型肝炎表皮抗原の発見は,医療の現場に衝撃をもたらした。1960年代の米国では献血の大半が売血によってまかなわれており,献血者は平均よりもB型肝炎に感染している可能性が高かった。したがって輸血後の肝炎発生率も高く,ある調査によると,長期の外科的処置を通じて大量の輸血を受けた患者の半分が肝炎を発症していた。適切な検査によってB型肝炎表皮抗原で汚染された血液を除外してやれば,輸血後の肝炎を劇的に減らせることに医療関係者たちは気づいた。
 
 ただし,ブラムバーグやアルターがB型肝炎表皮抗原の検査に使ったゲル拡散法は,高精度の血液スクリーニング検査には不十分だった。幸い,ブロンクス退役軍人管理局医療センターのヤロー(Rosalyn Yalow)とバーソン(Solomon Berson)が極微量の血清タンパク質や抗体を検出・測定する革新的な手法を1950年代初めに開発していた。きっかけは糖尿病患者の血中インスリンに何が起きているのかという興味だった。糖尿病ではインスリンの欠乏を示す症状が表れるが,にもかかわらず患者の膵臓ではインスリンが作られている。これはいったいどういうことなのか?2人は糖尿病患者の血液中にインスリンが入ると何が起きるのかを見極めようと,放射性同位体で検出しやすくしたインスリンを用意した。放射性インスリンを糖尿病患者に注射して血液を調べるうちに,2人はそのインスリンが患者の免疫系で作られた抗体に結びつくことを見いだした。この発見をもとに,ヤローとバーソンは「ラジオイムノアッセイ(同位体標識免疫定量法)」という手法を考え出した。抗体やタンパク質に結びついた微量の物質を追跡できる手法だ。ラジオイムノアッセイはゲル拡散法よりも単純なばかりか,感度が1000倍も高かった。ヤローはラジオイムノアッセイの開発で1977年のノーベル生理学・医学賞を受賞した。
 
 いくつかの民間会社と大学の研究者たちはラジオイムノアッセイを改良して,血液中のB型肝炎表皮抗原を高精度で検出する検査キットを作った。米国では献血血液に対するB型肝炎ウイルス(HBV)検査を義務づける法律が1972年に可決された。この結果,どこの血液銀行もすべての血液試料を検査するようになり,輸血後にB型肝炎が生じる例は極めてまれになった。B型肝炎ウイルスのスクリーニング検査によって,米国だけでも医療費が年間ざっと5億ドルも節約できたと推定されている。
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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