head
BEYOND DISCOVERY
日経サイエンス
爆発物から治療ガスへ
TOPへ戻る
1. イントロダクション
2. 心臓と血圧
3. 爆発性の治療薬
4. 細胞のメッセージに耳を傾ける
5. EDRFの発見
6. EDRFと一酸化窒素がつながる
7. 一酸化窒素の広がり
8. 将来の治療
9. クレジット
お問い合わせ
BEYOND DISCOVERY
THE PATH FROM RESEARCH TO HUMAN BENEFIT
■将来の治療
 循環器系や免疫系,神経系で一酸化窒素が働く仕組みが明らかになるにつれ,一酸化窒素とその関連物質を治療に応用する試みも広がっていった。一酸化窒素にさまざまな機能があるということは,必要な部位だけに働くようにしないと最善の効果があがらないということでもあった。慢性肺高血圧症の未熟児に一酸化窒素を吸入させる治療がうまくいったのは,的確な部位,つまり酸素をうまく取り入れられない未熟な肺の血管にだけ一酸化窒素が達したためだ。一酸化窒素関連物質による治療が成功した別の例としては,男性の性機能不全治療薬「バイアグラ」がある。バイアグラは,cGMPを分解する酵素の活性を阻害することによって,ペニス筋肉が受けるcGMP信号を長持ちさせ,血管を膨張させる。バイアグラの開発はイグナロによる初期の研究成果がきっかけになった。彼は一酸化窒素がペニスの勃起を引き起こす神経伝達物質であることを示してもいた。
 
 選択的に働かせる方法としては,一酸化窒素を作る酵素のうち特定のタイプだけを阻害する薬剤を作るやり方がある。例えばマクロファージでできるiNOS(NOS-2)の働きを止める薬剤は,炎症や自己免疫疾患の治療に使えるだろう。脳細胞で作られるbNOS(NOS-1)を阻害する薬剤なら,脳が損傷したり脳梗塞による酸素不足を起こしたりした後に,脳が過剰な一酸化窒素を放出することによって生じる脳細胞の死滅や脳の損傷を軽減できるだろう。これらのタイプの薬剤はいずれもeNOS(NOS-3)の機能を妨げないように工夫し,血圧や体内組織への血流が影響を受けないようにしなければならない。
 
image 1990年代には,体内で重要な情報伝達物質として働くEDRFと一酸化窒素の発見に対してノーベル賞が授与されるとの期待が高まった。その候補者として取りざたされたのはファーチゴットとイグナロ,モンカダ,ムラドだった。ノーベル賞には同じ賞の受賞者を3人以内とするという制約があったので,ノーベル財団は1998年12月10日,一酸化窒素の機能解明の業績をたたえてファーチゴットとイグナロ,ムラドの3人にノーベル生理学・医学賞を授与した。
画像をクリックして詳細をご覧いただけます。
年表
← 前へ 次へ →
原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
このウェブサイトは米国科学アカデミー(NAS)と日経サイエンス社の取り決めをもとに作られています。
Copyright Japanese Edition 2003 by Nikkei Science, Inc. All rights reserved. Copyright 2003 by the National Academy of Sciences. All rights reserved.
2101 Constitution A venue, NW, Wadhington, DC 20418