大気科学と政策決定の進歩
この年表はオゾン層の破壊を予見し,予想される災厄を避けるための行動を導くに至った一連の出来事を示す。基礎研究がいかに予想外の貢献を果たし,社会に大きな福利をもたらすかを示す事例に満ちている。
1840年
シェーンバイン(Christian Friedrich Schonbein)が下層大気の成分としてオゾンを特定。
1881年
ハートレー(W. N. Hartley)がオゾンによって太陽光中の紫外線(波長290nm以下)が吸収されることを突き止めた。オゾンが主に上層大気に存在することも発見。
1913〜32年
ファブリー(C. Fabry)とビュイッソン(M. Buisson)が大気中のオゾン総量を計量可能であることを示した。300ドブソン単位に相当する。
1924年
ドブソン(G. M. B. Dobson)が新たに開発した分光計を利用し,英オックスフォードでオゾンを定常観測する研究プログラムを開始。
1930年
チャップマン(Sydney Chapman)が大気中の酸素分子に太陽光が当たってオゾンを生成する仕組みを解明。
1957年
国際地球観測年の一環として,南極にある4〜5の観測基地でオゾンの定常観測が始まる。
1970年
地球観測衛星「ニンバス」がオゾン観測を開始。

ラブロック(James Lovelock)が電子捕獲検出器を使って大気中のクロロフルオロカーボン(CFC)を検出。
1973年
ストラスキ(Richard Stolarski)とチチェローネ(Ralph Cicerone)が塩素が成層圏で連鎖的な化学反応を起こしていることを発見。
1974年
ローランド(F. Sherwood Rowland)とモリーナ(Mario Molina)がCFCが成層圏のオゾンを破壊する可能性を発見。
1976年
米国科学アカデミーがローランドとモリーナの発見を確認する報告書を発表。

米国の食品医薬品局(FDA)と環境保護局(EPA)がCFCをエアロゾル噴射剤に利用することを段階的に廃止すると発表。
1978年
エアロゾル噴射剤へのCFCの利用が米国で禁止される。
1984年
ファーマン(Joseph Farman)が率いる英国の研究グループ,南極上空のオゾンが春に40%減少していることを検出。
1985年
米航空宇宙局(NASA)の観測衛星のデータにより,南極上空のオゾンホールの存在が確認される。
1987年
世界でCFCの使用量を最終的に半減することを目指し,モントリオール議定書が調印される。
1988年
米国がモントリオール議定書を批准。議会の全会一致による。

北極上空にもオゾンホールができていることを示す観測結果が報告される。
1995年
ローランドとモリーナ,クルツェンが大気化学の研究でノーベル賞を受賞。
1996年
CFCの生産を全面禁止する規制が発効。