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BEYOND DISCOVERY
日経サイエンス
■ポリマーと人々
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1. イントロダクション
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BEYOND DISCOVERY
THE PATH FROM RESEARCH TO HUMAN BENEFIT
■ポリマー産業の勃興
 炭素原子が形作る構造が解明される4年前の1870年,米国人発明家のハイアット(John Wesley Hyatt)は象牙に代わるビリヤード球の素材を考案するコンテストで優勝した。象牙は当時も品不足だったのだ。優勝をさらった素材はセルロイド。植物の細胞壁の主成分ポリマーであるセルロースをもとにしたポリマーだ。これをきっかけにポリマー産業が興った。ハイアットは硝酸セルロース(綿火薬)――綿の繊維に硝酸と硫酸を加えて作る爆発性素材――をアルコールと樟脳で処理した。こうして得られた素材は硬くて光沢があり,高温にすると軟らかくなるので型を使って成型できた。安価で均質なため,この新素材はビリヤード球の素材として象牙に取って代わった。だがセルロイド製のビリヤード球どうしがぶつかると,たまに爆竹のような音をたてることがあった。硝酸セルロースは組成がトリニトロトルエン(TNT)に似ており,爆発性があるためだ。セルロイドは櫛の素材として動物の角の代わりに使われるなど家庭用品に広く用いられ,柔軟性のある写真フィルム第1号の素材にもなった。1887年,シャルドネ(Count Hilaire de Chardonnet)は硝酸セルロースを紡いで「シャルドネ絹」を作り出した。これが商品化された合成繊維の第1号で,後にレイヨンやナイロン,ダクロン(ポリエステル繊維)などが続くことになる。

 セルロイドとシャルドネ絹はいずれも天然ポリマーを加工して作ったポリマーだ。正真正銘の合成ポリマー第1号ができたのは1909年になってから。米国人発明家のベークランド(Leo Baekeland)が石炭からコールタールとともに副成するフェノール(石炭酸)を高温・高圧下で防腐剤のホルムアルデヒドによって処理して作ったベークライトだった。ベークライトは硬いうえ,強い化学薬品にも侵されにくく,電気絶縁性があり,熱に強かった。これらの性質はさまざまな家庭用品や電気部品に適していた。やがてベークライトは工具や機械,調理用具に使われるようになった。
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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