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BEYOND DISCOVERY
日経サイエンス
■ポリマーと人々
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THE PATH FROM RESEARCH TO HUMAN BENEFIT
■ポリマーの黄金期
 1937年,ナイロンが絹の代用としてストッキングに使われるようになると,強くて安価で加工しやすいこの新素材は未曾有のヒット商品となった。ナイロン繊維と,合成ゴム第1号のネオプレンがたちまち大成功を収めたことで,ポリマー産業は重要な教訓を得た。基礎研究が天然物質に代わる製品の開発につながることがわかったのだ。そして,ついにはノーベル賞までもたらした。スタンフォード大学のフローリー(Paul Flory)は大学と企業の双方で高分子化学を研究した科学者だが,その業績に対してノーベル賞が授与された。フローリーは特に高分子鎖の形状と性質の数理統計的分析を通じて,ポリマー分子の反応性に関する理論構築に貢献した。

 1930年代は新種の合成ポリマー開発の黄金期で,ポリ塩化ビニル(PVC)やポリウレタン,ポリ四フッ化エチレン(テフロン),ポリスチレンなどが生まれた。これらのポリマーは織物や塗料,家庭用品,包装資材,絶縁材などの産業に革新をもたらした。これらの新素材は原料(通常は石油や天然ガス)とはまるで似ても似つかず,非常に加工しやすいという利点があった。多くのポリマーは熱を加えると軟化して形を変えられるようになるため,「形をつくることができる」という意味のギリシャ語をもとに「プラスチックス」と呼ばれるようになった。

 1930年代後半から1940年代に起きたもう1つの重要な動きは合成ゴムの大量生産で,これは自動車産業の好景気と第二次世界大戦の軍需に後押しされたものだった。1930年までに,石油の副産物であるブタジエンから作った2種の合成ゴムがドイツで開発されていた。欧州での緊張が高まるにつれ,米国政府は米国のゴム調達が途切れるかもしれないと考え,1941年に「ゴム準備会社」を設立して年間1万トンの生産を目指した。1942年半ばには,生産目標は年間85万トンへと急増した。広大なプランテーションによってゴム原料を世界に供給してきた東インド諸島が日本に占領されたことに対応するためだ。高分子化学者とエンジニアが協力しあい,軍需を満たすためさまざまな新工程を開発した。最も重要な技術の1つはコーネル大学のデバイ(Peter Debye)によって開発された光散乱技術で,デバイはこれを用いて非常に長いポリマーの分子量と大きさを求めた。高分子化学者たちはこの情報を利用して合成ゴムを分析した。デバイが開発した技術の現代版は,複雑な分子の特徴を調べる非常に重要な手段になっている。
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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