遺伝子組み換え作物
1. イントロダクション
2. 新しい種子の交配
3. 従来の品種改良の限界
4. 植物の病気を上手に利用
5. 望ましい遺伝子の探索
6. クラウンゴール菌とBt遺伝子の出合い
. 遺伝的な障害
8. ウイルス抵抗性
9. 除草剤耐性
10. 遺伝子組み換え植物がもたらした問題
11. さまざまな可能性を求めて
12. クレジット
新しい種子の交配
 耕し終えて種子を播くばかりになった畑をじっと見つめながら,1人の農民がワタの種子を手にとっている。昨年に播いた種子とそっくり同じように見えるが,実は特別な種子だ。普通の種子と比較すると,綿花の収穫量は10%以上多く,殺虫剤の量は半分ですむ。種子のゲノムに別の遺伝子を挿入して,こうした改良が可能になった。組み込んだ遺伝子は細菌から採取したもので,普通の植物には存在しない。この遺伝子は,ワタの実や芽を食べる2種類の害虫を殺す有毒なタンパク質を作り出す。これらの毛虫によるワタの被害額は毎年数百万ドルにのぼっており,世界中で使用される殺虫剤の半分以上がワタに使われているのも,この害虫のためだ。

 遺伝子組み換え種子を手に取った農民には,育種会社がごく最近になって品種改良技術を進歩させ,この種子を作り出したのだと思えたかもしれない。しかし,実は50年以上にわたって多くの科学者が重ねてきた研究の成果なのだ。そうした科学者たちの研究が礎になって,特定の生物体を病害虫から守る遺伝子を分離したり,その遺伝子を様々な植物に導入する技術に道が開けた。生物についての基本的な疑問の解明が遺伝子組み換え種子などの実用的な成果に結びつくとは,想像もしていなかっただろう。
   
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原文はNASのBeyond Discoveryでご覧になれます。
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