■P.
F. ホフマン/D. P. シュラグ
今から6億年前に気候の大変動が起きた。原生代後期に起きた,この時の大変動は熱帯さえもが凍るほどの,とんでもない氷河期であった。当時の生物界は明らかな動物が登場する前だった。
当時の地球を宇宙から眺めたら,全球真っ白に雪で覆われた地球が1000万年かそれ以上の間,宇宙空間をさまよう姿が見えただろう。ただし,地球の芯にあるどろどろに融けた高温の金属の核から地表へと放出される熱のため,海洋底までがすべて凍ることはなかったはずだ。しかし地表は−50℃にもなり,海面は1kmほどの厚さの氷に覆われた。いわゆる「全球凍結」だ。
当時の生物のほとんどは死滅した。きしむ氷河とうなる海氷のかたわらでは,場所によっては火山が噴火して氷を溶かし,熱い頂上をむき出しにしていただろう。地球は,生命にとっては万事休すようなこの極低温の状態から二度と温暖にならないように思えた。だが,火山はマグマとともに二酸化炭素を大気に放出し続けて,ゆっくりとだが極寒の気候から脱出する準備をしていた。
常識では信じられないかも知れないが,7億5000万年から5億8000万年前の間に極端な寒冷化と温暖化が繰り返し4回も立て続けに起きたことを示す明確な証拠を私たちは発見した。今まで科学者は,地球の気候にはそこまでの激しい変化はなかったと思い込んでいた。しかし,地球の双子星である金星ではそのような激しい気候変動があったことが広く受け入れられている(M.
A. ブロック/D. H. グリンスプーン「金星を襲った気候激変」日経サイエンス1999年6月号)。