■F.
ノリ/P. ショルツ/M. ブレッツ
何千年もの間,砂漠を旅する人々は,お化けか悪魔が発すると思われる不思議な音を聞いた。マルコポーロは,「悪霊がときにありとあらゆる種類の楽器の音で大気を満たし,太鼓の音や武器がぶつかり合う音まで聞こえてきた」と報告している。だが今日では,オカルト的ではない科学的説明が可能だ。このさまざまな音は,砂が動くときに生ずる音で,このような音を発する砂を「ブーミングサンド(booming
sand)」と呼ぶ(日本の鳴き砂はスキーキングサンドと呼ばれるもので,きしるような音を発する)。
これまでに少なくとも30カ所のブーミング砂丘が,アフリカやアジア,北アメリカなどで発見されている。砂がブーミング音を発するためには,さまざまな条件が整わなくてならない。ごみやダストがなく,乾燥しいて,磨かれてさらに丸められた砂粒が,砂丘の頂上近くにある時に発生すると考えられる。風によってできた砂の山の傾斜が34度より険しくなると,砂丘はアバランチェと呼ばれるなだれのような現象を起こす。砂の上層は下層よりも速く動き,粒子が繰り返し上下する。このような一斉に起こる上下運動がブーミング音を生じるらしい。
世界のさまざまな場所のブーミングサンドが,どのような条件下で,どのようにして音を発するかについては,研究者の説明は一致していない。(本文より)
著者 Jeffry O. Kephart, Gregory B. Sorkin, David M. Chess, and
Steve R. White
3人はアナーバーにあるミシガン大学で,鳴き砂の共同研究を行っている。ノリは1987年にイリノイ大学アーバナシャンペーン校よりPh.
D. を取得し,現在は物理学の準教授。物性物理学に関するさまざまな問題に取り組んでいる。ショルツは,ミシガン大学で物理学と数学のB.S.(理学士)を取得。現在はソフトウェア開発にたずさわっている。ブレッツは物理学の教授で,1971年にワシントン大学(シアトル)よりPh.
D.を取得した。多様な系における臨界現象を研究している。 |