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日経サイエンスは米国の科学雑誌「SCIENTIFIC AMERICAN」の日本版です。

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SCIENTIFIC AMERICAN
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   火星に生命は存在したか
写真■E.K.ギブソン/D.S.マッケイ/K.トーマス=ケプルタ/C.S.ロマネク

 1997年7月4日の米国独立記念日,米国の探査機マーズ・パスファインダーが火星に着陸した。刻一刻送られてくる赤茶けた別世界のリアルな画像に世界中がくぎ付けになり,惑星探査としては近来にない大きな盛り上がりを見せた。

 その背景には,1年前に起きた1つのセンセーショナルな出来事が伏線にあった。南極で見つかったこぶし大ほどの隕石ALH84001から,「火星生物が存在した痕跡が見つかった」というものだった。この隕石の最も興味深い特徴は球体をつぶしたような直径20〜250μm(1μmは1/1000mm)の小さな円盤状をした炭酸塩の粒の存在。ALH84001には,もとの岩石が形成された後にできたと思われるひび割れがあるが,炭酸塩の粒は,この割れ目の内壁にへばりついていた。炭酸塩の粒に見られる特徴は,大きく3つに分類できる。

 第1は地球上のバクテリアが生成するものに似た酸化鉄と硫化鉄の微小粒子に関するもの。第2は炭酸塩の粒の内部や表面に見られる有機炭素分子に関するもの。第3は地球上で発見されたバクテリアの化石と酷似する炭酸塩の粒の特異な構造に関するものだった。

 1つ1つとってみれば火星生命の存在を強く示唆する証拠とは言いにくい。しかし,すべてを総合すると,この炭酸塩の粒は太古の火星微生物の痕跡だと解釈できる十分な証拠となる。(本文より)


著者 Everett K.Gibson,Jr.,David S.McKay,Kathie Thomas-Keprta and Christopher S.Romanek

4人は南極で見つかった火星隕石ALH84001の中に火星微生物の痕跡を発見した研究グループの主要メンバー。ギブソン,マッケイ,トーマス=ケプルタの3人は,NASAジョンソン宇宙センター(テキサス州ヒューストン)勤務。ロマネクは同センターの博士研究員だったが,今はジョージア大学の地質学教室とサバンナ川生態学研究所に所属。ギブソンの専門は地球化学と隕石学,マッケイは地質学,とくに惑星岩石学が専門で,2人はともにジョンソン宇宙センターの地球科学・太陽系探査部門の主任研究員。生物学者のトーマス=ケプルタはロッキード・マーチンの主任研究者で,電子顕微鏡で隕石や惑星間塵,月の試料の観察をしている。ロマネクの専門は低温地球化学と安定同位元素の質量分析。
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